『葬送のフリーレン』は超面白いけど、アニメ化難易度はトップクラス
皆さまは、『葬送のフリーレン』という作品を知っていますか?
『フリーレン』は剣と魔法のファンタジー作品で、長寿種族であるエルフ、フリーレンが勇者パーティーに加入して魔王を倒した後に冒険するという後日談を描いた物語です。
この作品、僕は最新刊まで購入しているのですが、とにかく凄い面白い漫画です。
ただ非常に言語化が難しいというか、分かりやすい面白さではないんですよね。
『鬼滅の刃』のような感情をむき出しにした勢いのあるストーリーでもなければ、『こち亀』のように笑わせるギャグがあるわけでもない。人によっては何を楽しめばいいのか分からず、どうして売れているのか分からないという感想を抱くかもしれません。
しかし、それは実に勿体ない! 人生の一割を損していると言っても過言ではありません。そういうわけで、今回は僕がどうして『フリーレン』を面白いと思ったのかを書いていき、さらにアニメ化についても語っていきます。
面白さとは?
では、早速この作品の売りがなんなのかというと、それは『エモさ』だと思います。分かりにくいなら、『感情を揺さぶってくる』ところだと言い換えてもいいです。
例えば一話。主人公、フリーレンの種族エルフは千年以上は余裕で生きられるほど長寿であり、ゆえに長くても百年程度しか生きられない普通の人間とは全く時間の感覚が違います。
勇者パーティーに参加し、魔王を倒すまでにかかった時間は約10年。普通の人間であればかなり長い時間ですが、エルフであるフリーレンにとっては一瞬のようなもの。彼女はそう考え、彼らと別れて世界中を旅するようになります。
しかし、それから数十年後。勇者パーティーの一人である勇者ヒンメルが寿命で亡くなり、その葬式に出席したフリーレンは思わず涙を流してしまいます。確かに短い時間ではあったけれど、かけがえのない日々だった。それを、彼女は失って初めて気づくことができたのです。
こんなことならもっと話しておけば良かったと嘆くフリーレン。けれど、それはもうできない。だから、以降の彼女は積極的に人と接しようと試みます。二度と後悔しないように、一瞬一瞬を大事に扱うようになったのです。
そこからはもう凄いです。旅の途中で起こる出来事に、勇者たちとの日々を重ね合わせて感傷に浸り、なんとも言えない寂寥感を僕たち読者に与えてくれます。この静かでノスタルジックな雰囲気が本当に素晴らしくて、非常に心地がいいんです。分かりやすい勢いは無くて淡白だけれど、じんわりと心を満たしてくれる温かさがあるんですよ。
それは、フリーレン以外のキャラも同じで、特に歳を食った老人キャラたちがいい味を出してくれてます。
若い頃に失った妻との思い出のため、強大な敵に立ち向かおうとする者。ぶっきらぼうで情なんて持ち合わせて無さそうなのに、先に死んでいった人たちが好きだった魔法はいつまでも覚えている者。
若者もいいキャラしてるんですけど、やっぱりこの漫画のメインは大人たちです。長く生きれば生きるほど、やらなかった後悔がどんどん大きくなり、失ったものも増えていく。だからこそ、それを理解して少しでも取り戻そうとする彼らを見て、感情移入していくのです。
だから、わびさびの心を体現しているこの漫画の良さを理解するのは若者には難しいかもしれませんまあ、僕は若者ですけど。ある程度人生経験豊富な年代である、ベテラン社会人であれば間違いなく心に響くと思います。
アニメ化について
さて、この作品は売れている名作の例にもれず、アニメ化が決定しました。大変喜ばしいことです。おめでとうございます!
アニメになれば世間からの知名度も上がり、上手くいけば『ぼっち・ざ・ろっく!』のように特大ヒットをかますこともできるので、これを機にファンが増えればいいなと思います!
ただ正直なところ、この作品をアニメにするっていうのは結構難しいとも思ってるんです。なんでかって言うと、『フリーレン』ってほぼ漫画で完成されてるからなんです。
アニメになったときの利点は色々ありますが、僕的にはやっぱり動きが着くことが一番の強みだと感じています。漫画でもできなくはないですが、パラパラ漫画の要領を使っているアニメにはどうしても敵わない部分です。
派手なアクションによって漫画では表現しきれない部分を補完し、より視覚的に楽しむことができる。それがアニメなのです。
が、この漫画ははっきり言ってアクションはそこまで重要じゃないんです。さっきも言ったように心を揺さぶってくるのが特長であるため、『鬼滅の刃』のようなド派手なモノは不要です。逆にめちゃくちゃぬるぬる動いてしまうと、本作の”静”の雰囲気が崩れてしまうと思います。
さらに言えば、そうした落ち着いた雰囲気をアニメで表現するのも結構難しい気がします。どうしても動かない場面が必要になりますし、そうなると同じ画が続いてテンポが悪くなってしまう。かと言って動かし続けるわけにもいかないわけで……う~ん、難しいですね。
漫画で完成されているというのはこういうことで、つまりアニメならではの強みが逆に本作の魅力を損なわせる結果になりかねないということです。それならいっそ、制作陣は漫画とは違う楽しみ方を模索するべきなのかもしれません。原作信者には不評だろうけど。
もっと言ってしまうと、仮に本作の魅力を最大限に引き出すアニメを作り出せたとしても、ウケるかどうかはまた別です。
さっきも言ったように『フリーレン』は面白さが非常に分かりにくく、淡白な印象が強い作品です。『ぼっち・ざ・ろっく!』や『リコリス・リコイル』といった近年ヒットした作品のようなメリハリのついた分かりやすい面白さを持っておらず、またそれらとは違ってキャラ萌え要素も多くありません。
さらにそうした作品たちと比べて、キャラたちの感情表現もパッと見では分からないのもアニメ映えしない部分ではあります。泣いたり笑ったりなどがほとんど無いので、ながら見では楽しみにくい作品なのも難点なんですよね。今のアニメって何かをしながら見るのが割と普通になってきてますから。まあ僕としてはその風潮はどうなのかなと思いますけど。
終わりに
とはいえ、僕は『葬送のフリーレン』のアニメにはめっちゃ成功してほしいです。だってマジで面白いし、凄い素晴らしい作品だから。僕の不安が杞憂に終わってくれればそれに越したことはないんですよ。
とにかく、『葬送のフリーレン』のアニメを楽しみに待とうと思います。2023年秋に放送されるらしいので、そのときまで絶対に生き延びてみせます!!