シャクザのアニメ・漫画・ゲーム感想ブログ

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『転生王女と天才令嬢の魔法革命』――幸せは苦難を乗り越えてこそ輝く――

 皆さま、こんにちは。2023年冬アニメは去年と比べて不作であるという評価が下されがちですね。まあ個人的な見解を述べさせていただくと、その評価は間違っていないと思います。見れなくはないけれど、ハマったかと言われると微妙なアニメが多いですからね。

 とはいえ、面白くないと言っているわけではありません。今回は『転生王女と天才令嬢の魔法革命』について感想を述べていこうと思います。ネタバレ全開ですので、ご容赦ください。

 

想像以上にシリアス

 

 まず思ったのは、想像以上にシリアスな物語だったということです。

 よく分からない理由で次期国王アルガルドから婚約破棄を告げられるユフィリア。そんな彼女を、アルガルドの姉であり王族でありながら魔法が使えない異端の王女、アニスフィアが振り回していく。そんなストーリーを予想していました。

 しかし、実際は全然違いました。確かにユフィリアアニスフィアに強く影響され、自我のない人形のような主体性に欠けた性格から脱却し、自分をさらけ出すようになりました。ただ、その変化は割と丁寧に描かれ、かなりしっとりとした静かな印象を受けました。

 これは、アルガルドの反逆も同じでした。

 魔法は使えないが、代わりに庶民でも魔法を使えるようにする”魔学”を探求し、革新的な発明を重ねてきた姉。だが、魔法が使えないせいで貴族たちに疎まれ続けてきた姉。

 そんな姉、アニスフィアに嫉妬、尊敬、憎悪といった様々な感情を抱き続けた末に、アルガルドはとんでもない暴挙をやらかしてしまいました。最終的に姉弟で血を血で洗う戦いへと発展し、胸の内に秘めていた本心をぶちまけます。

 結局アニスフィアが勝利しますが、あまり後味のいい結末は迎えませんでした。

 壮大な姉弟喧嘩の原因はどちらにもあり、またアルガルドがやったことは確かに許されない行為だけれども同情の余地が大いにありました。そして、それを登場人物たちが分かっているからこそ、単純な勧善懲悪で終わらない。まあスッキリはしないでしょう。

 その姉弟喧嘩が終わったあとも、苦しい展開が続きます。お互いを想い、お互いのために犠牲になろうとするユフィリアアニスフィア。どちらの主張が通ってもどちらかが不幸になってしまう。暗く、辛く、重々しい雰囲気が全体を支配していました。

 こうなると、もはや当初考えていたお気楽物語ではありません。ストレスフルで鬱々しい、苦悩に満ち溢れた物語でした。

 

 ただ個人的には、だからこそ最終回のハッピーエンドが心に沁みました。

 まだ解決していない問題は残っているものの、きっとなんとかなる。そんなふうに希望に満ち溢れた彼女たちの姿を見て、「最後まで見て良かった」と心から思いました。

 やっぱり苦難が続いたあとのハッピーエンドっていうのは素晴らしいものです。そうした過程のある幸せこそが、心に訴えかけてくるものなのです。

 

 しかし、今の時代には正直合っていなかったかもしれません。というのも、シリアスストーリーはイマイチウケない傾向があるからです。

 最近だと、『スパイファミリー』『ぼっち・ざ・ろっく!』『リコリス・リコイル』などが大きく話題になりましたが、3つとも完全にシリアスではありません。真面目な所もありますがどこかポップでコメディーな雰囲気を漂わせているアニメでした。

 これには理由があり、まずシリアスで暗いものをわざわざアニメで見たくないと考える人が多いということ。さらに、そういった明るい作風のアニメの方が軽く観賞でき、いちいち頭で考える必要なく楽しめるというわけです。

 だからこそ、『転生王女と天才令嬢の魔法革命』はウケにくい。特に『リコリス・リコイル』の後釜と目されてしまったため、余計にライトなモノが期待されました。

 

 もっと言えば、この作品が『なろう発の作品』であることもマイナス点でした。ほとんどの『なろう系』の転生型主人公は、どこから仕入れたのかやけに詳しい現代知識で異世界を無双したり、理不尽なチート能力で蹂躙する傾向にありました。

 しかし、この作品は一応、現代知識を元に”魔学”なるものを究めていきますが、それゆえに魔法、ひいてはそれの元となる精霊を信仰する貴族たちには強く反発されてしまいます。

 さらに、転生者であるがゆえに、本来のアニスフィアの人格を奪ってしまったのではないかと内心苦悩していたことも明かされます。

 要するに、転生者であるがゆえの負の部分をちゃんと物語に反映しているんですね。『なろう系』の邪魔する者は全て皆殺しにするといった痛快なストーリーを求める層には、きっと「なんか期待してたのとは違うな」という感想が生まれたことでしょう。

 

終わりに

 

 まだ見ていなくて、ここまで文章を読んでしまった人たちには忠告しておきます。この作品は『ぼっち・ざ・ろっく!』『リコリス・リコイル』のようなノリを期待していると痛い目を見ますし、『なろう系』のような主人公が絶対正義で完璧な人間として讃えられるわけでもありません。

 また、ながら見をしているとよく分からなくなるので、しっかりと画面に集中して観賞した方がいいでしょう。そうしないと、登場人物たちの心情を汲み取り切れず、上手く物語に入り込めなくなると思います。

 もし見るのなら、途中で微妙だと感じても最後まで見ることをオススメします。そこまでの辛い展開も、全て最終回で幸福感を味わうためにあるのですから。

 

 以上、『転生王女と天才令嬢の魔法革命』の感想でした。