僕が『お隣の天使様』よりも『久保さんは僕を許さない』の方が好きな理由
この前、僕は『お隣の天使様』を批判した記事を出しました。
過程が存在せず、キャラ設定を完全に無視した不自然な行動を取り続け、それをラブコメだと言い張るのに違和感しか覚えなかったからです。
逆に言えば、キャラに合った行動を取ってさえいれば視聴に耐え得るアニメになるということ。その点で、『久保さんは僕を許さない』は手放しで褒められるとまではいかずとも、そこそこ面白いラブコメ作品だなと感じました。
ただ表面だけをなぞれば、この2作品はほぼ似たようなものだと感じると思います。どちらも、パッとしない主人公になぜか美少女が近寄ってくるご都合主義の塊みたいな作品だと。まあ否定はしません。
しかし、その中でも違いはあります。今回はその点について両作品を比較しながら述べていこうと思います。
①キャラの行動に違和感が伴うかどうか
先ほども述べましたが、キャラの性格と行動が一致しているかどうかはかなり重要な要素だと言えます。揺れ動く心情が醍醐味である恋愛モノでは、他のジャンルよりも遥かに重視されます。
『お隣の天使様』は、具体的なことは上のリンクで書いたので省きますが、個人的にはうまく描けていなかったと思います。主人公もヒロインも人付き合いにトラウマを持っているのに、なぜかお互いに関してのみは大して仲良くもない時期でもギャルやチャラ男並みの積極的な行動を取る。意味が分かりませんでした。
『久保さん』は、主人公もヒロインも行動原理がしっかりしていました。まず主人公の白石くんはとんでもないほど存在感がなく影の薄い男です。しかし、その存在感の無さは尋常ではなく、普通にそこにいるのに誰にも気づかれないというまるで透明人間であるかのようなものでした。
ゆえに、彼は家族以外の他人と友好関係を築くことができていませんでした。だからこそ、白石くんは久保さんに積極的な行動を取れません。当然ですね。人付き合いの経験が浅い人間がそんなことできるわけないんですから。
そんな存在感がない白石くんですが、唯一彼を認識できる人物がいます。それが、先ほども述べた久保さんです。彼女は超能力じみた白石くんの存在感のなさを面白がり、彼の膝に乗ったりしてからかっていきます。
まず久保さんが白石くんに興味を持つのは結構自然なことです。だってそうでしょう。全く存在感のない人間が近くにいたらそりゃ気になるじゃないですか。超能力者がクラスメイトにいるようなもんです。
そして、彼にちょっかいをかける理由もまた整合性が取れていると思います。一見、主人公にいきなり好感度マックスな行動を取ったかのような都合のいい展開ですが、実際のところ、僕はそうだとは受け止めませんでした。と、いうのも、久保さんはまだ恋愛感情を誰かに抱いたことがなく、それゆえに精神が少し幼い――いわゆる小学生みたいなメンタルなのです。だから、高校生なら異性を意識して絶対にやらない行動も、小学生じみた彼女ならやってしまうのです。
完璧に整合性が取れているとは言いませんが、僕的には視聴可能範囲内に入っているくらいには気になりませんね。
②笑える要素が入っているかどうか
実はここが一番重要な要素かもしれません。ラブコメって要するに、ラブ&コメディのことで笑える部分も入っているものです。個人的な感性ですが、コメディ要素があれば割と見られるしその点だけで加点要素になります。
逆に言えば、コメディ部分が薄いと必然的にラブ部分が濃くなり、その分ラブに求めるものが大きくなるのです。
『お隣の天使様』はまさにそうで、だからこそ主人公とヒロインが愛を深めていく過程が一番肝心でした。しかし、ほぼ最初から主人公とヒロインは恋人のようなアクションを取っていて、尊いだとかエモいだとか思うよりも前に疑問符が付いて上手く楽しむことができませんでした。
『久保さん』もマシではあるものの、ラブ部分については微妙に違和感を覚えるものがあります。白石くんの格好いい部分がイマイチ見えず、久保さんが好意を寄せていく過程に納得がいきませんでした。
ですが、『お隣の天使様』とは違って『久保さん』は笑える部分が多いため、求められるラブの質や量はそこまで多くありません。もちろんラブもコメディもどちらもしっかりしていた方が高得点ですが、ラブがやや薄めでもコメディ部分で挽回できれば平均点くらいには成り得ます。
作品全体を100点満点の評価で考えると、『お隣の天使様』はほぼラブだけで100点を取らないといけませんが、『久保さん』はラブとコメディを合わせて100点を取ればいいということです。どちらが100点に近づきやすいのかは明白ではないでしょうか。
結論
この二作品を比較し、なぜ『久保さん』の方が好きなのかを述べていきましたが、正直『お隣の天使様』が可哀想だとも思いました。だって、ラブ一本で勝負するなんてどう考えても不利ですし、そもそもラブのような心情が重要なものを描写することは難しいです。そういった意味では、『お隣の天使様』の方が高度な挑戦をしていると言えます。
しかし、僕には関係のないことでもあります。作品として出た以上、クオリティで比較されるのは仕方ありません。つまり、僕の結論は変わらないということです。
『久保さんは僕を許さない』の方が『お隣の天使様』よりも好みであり、個人的にはラブコメの質が高い。
というわけで、『久保さんは僕を許さない』、ぜひ見てみてください。万策尽きて延期したけど……。